こんにちわ、サイトウさんです。
多くの人が【悩み】を抱えています。
腰が痛い。 肩が痛い。 上手く歩けない。 思うように手が使えない。 むせが強くて食事が辛い。 転びやすい。 全身がしんどい。 やる気が出ない。 など

このような訴えを改善するために、ありとあらゆる策を講じる事は非常に尊いものであると思います。
しかし、それだけでは不十分です。
例えば、40歳の男性、職業はトラック運転手、主訴は「腰が痛い」、こういった方の原因が、「大腰筋の筋スパズム」によるものであったと仮定します。


以前のブログでも紹介した「局所」と「全体性」の関係から、原因を「大腰筋の筋スパズム」であると評価することができ、それを治療することで腰痛の改善がみられ通院3回で外来治療終了となりました。
(※以前のブログはこちらから)
いかがでしょうか?
一見、ハッピーエンドにみえますが、これは実はバッドエンドです。
これには続きがあります。
2週間後に、腰痛が再発、その後も症状の増悪と軽快を繰り返し現在は仕事を長期療養することとなり、慢性疼痛に移行してしまったケースです。

何がいけなかったのでしょうか?
これは、「症状」を追いかけるあまり、患者さんの「目的」を評価しきれていなかった結果です。
この際の「症状」は言うまでもなく、「腰痛」でしょう。では、「目的」は何なのでしょうか?
「目的」は、仕事を続ける事です。
よって、対象とすべきは「腰痛症」ではなく、「腰の痛みを伴ったトラック運転手」と認識しなければいけません。
トラック運転手としての運動特性や姿勢特性を理解し考察できていたか、日中の過ごし方へのフォローはできていたか、症状が出た際のセルフエクササイズは指導できていたか。
例を挙げるとすれば、
・運転時の姿勢分析を行っているか?
→必要であればシーティングの介入を行う
・運転業務以外(積み荷の上げ下ろしなど)を把握しているか?
→動作分析を行い動作指導や他の影響因子を考察する
・業務時間帯の把握しているか?
→夜間の長距離トラックなどでは昼夜逆転していることも考えられる。それに伴う自律神経の影響なども考慮する必要がある
・Good Sleeping(良質な睡眠)が得られているか?
→不眠は自律神経系へ影響を与える。トラックの中で仮眠をとっているとすれば、臥位姿勢の分析・介入も必要となる。
・症状が出現した際の対処方法を指導しているか?
→いつ痛くなるんだろうという「不安」は、痛みの増悪や慢性化に繋がる。緩和策を持っているという安心感を与える必要がある。
など
書き出したらキリがないのでこの辺りで留めておきますが、いかがでしょうか?
気づいた方がいらっしゃるかもしれませんが先ほど抽出した内容は、触れるという評価の割合は極端に少ないものです。
重要なのは、その人がどういった環境に身を置き、どういった過程を経て自分の前に立っているか、それを考察することが必要となります。
「相手の立場に立つ」という視点があったかどうかが重要となります。
「腰痛症」という診断名をひとくくりにして、このテストでこういった症状がでたからここを治療すればよい。
この思考は決して間違いではないのですが、これでは足りません。
何度も申し上げますが、私たちが関わるのは、「症状」ではなく“人”であるということを忘れてはいけません。
それを忘れた瞬間に、家電製品を修理しているのと変わらなくなってしましまいます。

そんな関りは機械やコンピュータで充分です。
今一度、人と人との関わり合いを見つめなおし、悩みに悩みぬいて臨床を積み重ねるといった作業に没頭してみてはいかがでしょうか?
明確な正解がないのが、人と人との関わり合いであると思います。
お互いに後悔をしないような毎日を積み重ねていくことが成長への一番の近道であると感じています。
全ては患者さんの目的達成の為に!
ALL FOR THE Patient!
ではまた!!