こんにちわ、サイトウさんです。
今回は、悩みの多い、「坐骨神経痛」について解説します。
もくじ
①坐骨神経痛とは? ~実は、病名ではありません~
②痛みの原因
③神経痛の見分け方
④痛みによく効く運動療法を紹介
それでは、順番に解説していきます。
①坐骨神経痛とは? ~実は、病名ではありません~
結果から申しますと、「坐骨神経痛」は病名ではなく、【症状名】です。
「そんなの、言葉の問題でしょ?」「早く痛みのとり方を教えてよっ!」
そういった声が聞こえてきそうですが、運動療法をおこなうときに、この考えは非常に重要になります。
この後、しっかり解説しますので最後までお付き合いください。
坐骨神経は、殿部(お尻)から大腿部(太もも)の後方を走行し、下腿部(ふくらはぎ)や足部(足先)へとつながっています。
・坐骨神経痛とは、この神経に沿って臀部から脚にかけて起こる痛みの総称を指します。
・つまり、この神経の通り道が何らかの原因により固くなってしまうことにより、神経がストレスを受け痛みが発生します。
・要するに、坐骨神経が何らかの原因により二次的にストレスを受けるということです。
・ですので、症状の出方によって病名をつきつめ、それに応じた治療が必要ということになります。

②痛みの原因
痛みの原因はさまざまです。わかりやすいように表にしてみましたので確認してみてください。
脊椎疾患(背骨およびその周囲が原因の場合) | 腰部椎間板ヘルニア 腰部脊柱管狭窄症 腰椎すべり症 変性側弯(そくわん)症 骨粗しょう症に伴う脊椎圧迫骨折(背骨がつぶれる骨折) など |
筋疾患(筋肉が原因の場合) | 梨状筋症候群(殿部にある梨状筋が固くなり生じる) |
他にも、足の血管に関する場合(閉塞性動脈硬化症 など)や、骨盤・脊椎の腫瘍(がん)による場合、婦人科疾患(子宮内膜炎 など)、内科疾患(胃・十二指腸潰瘍 など)、精神疾患(心因性疼痛:ストレスからくる痛み など)など、多くの原因が考えられます。
代表例としては、表にもあげました「腰部椎間板ヘルニア」、「腰部脊柱管狭窄症」が原因となる場合が多くいため、それぞれに応じた神経痛の見分け方について解説します。
③神経痛の見分け方
ここでは、簡便な神経痛の見分け方についてご紹介します。
見分け方は大きく分けて2つだけです。
1.腰を屈曲(曲げる)したときに症状が強く出るのか。
2.伸展(反る)したときに症状が強くでるのか。
どちらのタイプか大きく分けることができます。
2つのパターンには下記のような特徴があります。
①腰を屈曲したときに症状が強く出る、反ると症状が楽になるという場合、多くは、「腰部椎間板ヘルニア」に伴って生じる坐骨神経痛の可能性を疑います。
②腰を伸展したときに症状が強くでる、曲げると症状が楽になるという場合、多くは、「腰部脊柱管狭窄症」に伴って生じる坐骨神経痛の可能性を疑います。
なぜこのような特徴があるかという理由について簡潔に解説しますと、
「腰部椎間板ヘルニア」では、腰を曲げることにより椎間板へのストレスが強くなり、症状が強まります。
「腰部脊柱管狭窄症」では、腰の伸ばすことにより、脊柱管が狭くなりそれがストレスとなり、症状が強まります。
上記のように考えてもらえれば理解しやすいかと思います。(※例外もありますので注意が必要です)
④痛みによく効く運動療法を紹介
お待たせしました。いよいよ痛みによく効く運動療法を紹介します。
先ほど、2パターンの症状の出方について解説しました。
大事なのは、屈曲と伸展の間の姿勢、すなわち
中立(ニュートラル)の姿勢を保つことが重要となります。
それでは、中立姿勢を獲得するために必要な自分でできるマッサージやストレッチ、体幹筋トレーニングについて解説します。
マッサージ・ストレッチ方法
殿筋群(お尻の筋肉)のマッサージ・ストレッチ
坐骨神経の通り道の中ででもっとも固くなりやすい筋肉が、「梨状筋」です。
実は、この筋肉の中を坐骨神経が貫通しています。
(下記の図の赤い部分が梨状筋です。※この図では神経は描かれていませんので注意)
この筋肉が固くなることにより、坐骨神経にストレスが生じ、脚の痛みを引き起こす場合が多くみられます。
これが、先ほども表で紹介しました「梨状筋症候群」です。

この筋肉が固くなっている人はかなり多く(特に男性)、アプローチすることで楽になる場合を多く経験します。
それでは、梨状筋のマッサージ・ストレッチ方法を3ステップでご紹介します。
基本的に、1stステップから開始し、痛みがなければ次のstepに進むのをおすすめしています。
痛いのをガマンして運動することは逆効果になるので注意してくださいね。
1st ステップ:股関節コロコロ
→仰臥位(仰向けに寝た状態)から、足を伸ばしたまま、踵を支点に内・外にコロコロと股関節を回旋させます。
(30回~50回程度、リズムよく反復します)
この運動により、梨状筋が伸び縮みを繰り返すことで徐々に筋肉の緊張が緩んできます。


2nd ステップ:殿筋群のストレッチ
→椅子座位(イスなどに座った状態)から、ストレッチする方の足を組み、膝を持ったまま、骨盤を立てた状態で(ココ重要!!)前にゆっくりとかがんでいきます。(呼吸を止めずにゆっくり5秒程度ストレッチを、3セット程度行います)
この運動により、殿筋群がストレッチされ筋肉の緊張が緩んできます。骨盤が起きていない状態(猫背姿勢)では十分にストレッチされないので注意してください。


3rd ステップ:殿筋群の筋力トレーニング
→側臥位(横向きで寝た状態)から、両脚の股関節とひざ関節を軽く曲げ、踵はつけたままゆっくりと脚を開きます。この開く閉じるの運動を反復します(10回程度で充分です)
この際、お尻に力が入ってるのを意識して行います。(またまた娘登場です。すいません(-.-))
この運動により、固くなった殿筋群に血液を循環させることで筋肉の緊張が緩みます。


体幹筋トレーニング
最後に、体幹筋トレーニングをお伝えします。
「腰部椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」では、体幹筋(腹筋・背筋)がうまく働かないことにより姿勢が崩れてしまい、ストレスが大きくなってしまうため、中立(ニュートラル)姿勢を保つためのトレーニングが必要不可欠です。
安全に行える方法をお伝えしますが、運動療法を行う際の大原則として、痛みや症状が強く出る場合はその運動を行うのは中止してください。
先ほどもお伝えした繰り返しになりますが、痛みをガマンしたままの運動は逆効果になることが多いのでおすすめしません。
それでは実際のトレーニングについてご紹介します。
紹介するテクニックは1つだけですが、応用方法も合わせてまた3ステップでご紹介します。1stステップが痛みなく余裕を持ってできるようになった際に、次のステップに進んでください。
くれぐれも無理はいけませんよ!
体幹筋トレーニング:ハンドニー(hand knee)エクササイズ
1st ステップ:四つばいの状態から顎を引いた状態で、お腹を天井の方向に引き上げたまま10秒程度キープします。
この時、呼吸を止めないように注意します。
この運動により、背筋と腹筋を効率よく働かせることを身体に覚えさせます。(娘が写っちゃってますね、すいません(-.-))

2nd ステップ:1st ステップの姿勢から、その姿勢が崩れないようにキープしつつ、片方の腕を身体と水平の高さまで上げ、キープします。
腕のキープが余裕で可能となれば、今度は片方の足を同じように水平まで上げキープします。
(※この際、背中が曲がってしまったり、腰が反ってしまったりする代償動作がでやすいので注意してください。
ちなみに2枚目の写真は、腹筋が働いていないため腰が反りすぎてしまってます。)


3rd ステップ:1st ステップの姿勢から、最後は片方の腕、反対側の足を同時に水平まで上げてキープします。(例:右腕・左脚/左腕・右脚)
腕と脚を同時上げたときでも、身体が安定して保持することが可能な状態を目指します。
(やはり、少し腰が反りすぎ傾向ですね。腹筋を鍛えなおす必要がありますね)

3rd ステップを余裕でできるようになっているころにはかなり体幹が安定した状態といえます。
痛みに注意し、安定した体幹を目指してトレーニングを継続してみてください!!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
坐骨神経痛を緩和していくための運動療法の手順をまとめます。
1.まず神経の通り道の中で固くなりやすい筋肉をほぐす
2.体幹を中立の姿勢で保つために筋力トレーニングを行う
3.上記の運動療法を行う場合は、痛みがある運動はガマンして行わないこと
以上です。
今回ご紹介させていただきました方法については、比較的負担の少ない運動療法をチョイスしていますが、まずは医療機関を受診し運動療法をおこなってもよいか診察を受けてからトレーニングすることを強くおすすめいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました!
一般社団法人セラピストフォーライフ
https://therafor.com/
代表 理学療法士 齊藤 洋輔